実験設備

・東北大学基礎空力研究用小型風洞 (Tohoku-University Basic Aerodynamic Research Wind Tunnel: T-BART)
 信頼性の高い風洞試験が可能な低速風洞です.吸い込み式のエッフェル型風洞であり,テストセクションでのノイズを最小限に抑えます.テストセクションは300 × 300 × 760 mmで,5-60 m/sの流速で気流乱れ度0.5%以下の実験を実施できます.テストセクションは簡単に再構成できるため,空力測定や可視化実験などさまざまな実験に使用しています.

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・火星大気風洞 (Mars Wind Tunnel: MWT)
 圧縮性低Reynolds数流れという極限流れを再現可能な風洞です.風洞総圧を自由に変更(Pt = 1-60 kPa)でき,作動流体を二酸化炭素に置換することも可能です.テストセクションは150 × 100 × 600 mmの矩形断で下流に設置されたエジェクタによって駆動されます.低圧条件下で気流Mach数0.1-0.74を達成し圧縮性低Reynolds数流れを実現し, 火星大気中を飛行する航空機周りの流れを模擬した実験や圧縮性低Reynolds数流れの基礎研究に使用しています.

 

・0.3m磁力支持天秤装置 (Magnetic Balance and Suspension System: MSBS)
 磁気力によって非接触で模型を浮揚支持する天秤装置です.機械的支持装置を用いないため,支持装置と気流との干渉を排除した風洞試験を可能にします.さらに,浮揚に用いるコイルに流す電流から模型に作用する空気力の計測が可能です.無線通信を用いた圧力計測システムや粒子画像測定法を用いることで,非侵襲性を維持したまま流体計測を行えます.本装置は300 × 300 mmの正方断面の試験部を持ち,東北大学基礎空力研究用小型風洞(T-BART)に接続して運用しています.

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・超音速噴流発生装置及び無響室
 圧縮空気を大気中に放出することで最大Mach数2.1程度の超音速噴流を再現できる装置です.ロケットエンジンなどの排気流に関する研究に使用されます.無響室は部屋内部で発生した音の反射を抑制することができる装置であり,音源探査などに使用しています.内寸は約3 × 3 × 3 mで,各種実験に対応するための可視化窓を無響室周囲270度にわたり設置しており,複数方向からの可視化計測も可能です

 

・音響共鳴管
 作成した感圧塗料の応答特性を調べるための装置です.一方の管端に設置されたスピーカーにより150-10,000 Hzの圧力変動を発生させ,もう一方の管端に設置したPSPと半導体圧力センサーの応答を比較することでPSPの応答特性を調べます.UVレーザーによりPSPを励起し,光電子増倍管によりPSPの発光を検出します.大気圧以下1 kPaまでの圧力レンジでPSPの応答性を調べることができます.PSPのサンプル板の温度もペルチェ素子によりコントロールできます.

 

・PSP自動校正装置
 作成した感圧塗料の圧力感度・温度感度を調べるための装置です.下部に設置されたチャンバー内の圧力およびサンプル板を設置する台の温度をコントロールできます.上部に設置された励起光源でPSPを励起し,CCDカメラで各圧力・温度でのPSPの発光強度を記録することでPSPの静的特性を調べます.圧力は0.3-300 kPa,温度は263-333 K(-10℃から60℃)の範囲で校正できます.また,酸素濃度を変えた試験を行うことも可能です.

 

・遷・超音速風洞(航空宇宙工学専攻共用設備)
 吸い込み式の遷・超音速風洞です.テストセクションのサイズはおよそ高さ80 x 幅40 mmです(使用するノズルによって高さは多少変化します).ノズルを変更することによってマッハ数1.1から2.0程度の条件で風洞実験を行うことができます. 

 

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